パソコン講師になって認識『純初心者』はどこが難所なのか
誰しも初心は忘れるもので、教える側に立って改めて気がつくことはとても多いです。
当記事では、私がパソコンを教える講師としての道を歩み始めてから、『純粋な初心者さんがパソコンのどこで苦戦するのか』を感じたままにまとめます。
すでにパソコンを使いこなしているかたにとっては、意外性のある内容もあると思います。これからパソコンを教えたいと思っている指導者さんや、初心者さんの参考になればと思って書きました。
目次
純初心者とは
当記事では、初心者さんの定義を統一するために『純初心者』と仮称します。
今回定義する純初心者さんは以下のとおりです。
- パソコンを(ほとんど)さわったことがない
- パソコンに苦手意識を感じている
経験よりも、苦手意識を持っているほうが、成長に対してよりマイナスに作用しがちです。個々の目標や考えをヒアリングできる体制にするため、講義を対話型にしたからこそ、この事実に気がつくことができました。
パソコンへの苦手意識という『抽象的』で『感覚的』な要素が、想像以上に成長を阻害する要素だというのが、私の経験から得られたことです。少し厳しい表現をするなら、『難しい』『わからない』が口癖になっているかたは、純初心者の域からなかなか抜け出すことはできません。
難所ポイント3選
パソコンが覚えられないと感じている純初心者さんが、特につまずくところをピックアップします。
ファイルの保存
パソコン(ストレージ)にファイルを保存するという概要と操作が最も鬼門になっています。
特に『上書き保存』と『名前を付けて保存』は、行動の選択肢が増えることによって、より難易度があがったように感じているとのことです。
また、ファイルがまだパソコン内に存在しない状態で『上書き保存』を実施したときには、『名前を付けて保存』してあげなければならないことが例外的操作となって、さらに抵抗感を増しているように感じ取れました。
論理的に覚えたほうが、実際は覚えることが少なくて済むのですが、『〇〇の場合は△△』『□□の場合は××』と、選択肢を絞ってパターン化させたほうが習得がスムーズなのは確かです。どのみちファイルの保存は何度も経験するので、自然と理解が進むことを考えると、まずはパターンで覚えるという方針は好手だと感じています。
フォルダーという存在
『フォルダー』もまた、概要と操作が鬼門になっています。
ただ、フォルダーに関しては主に『ファイルとフォルダーの違いがわからない』という感覚に陥るようです。ファイルとフォルダーはそもそも比べる対象ではないのですが、作成すると画面内にアイコンが現れ、名前もつけられるという共通点が多いことから、似ているのに何かが違うというわかりにくさが生まれていると感じ取れます。
フォルダーは『箱』や『棚』のようなモノとして概要をつかんでもらい、操作を反復することで習得を進めています。エクスプローラーの操作に慣れるのは、誰でも時間がかかるものです…
ダブルクリック
もう一つの鬼門である『ダブルクリック』からは、2つの問題が発生します。
1つ目は操作に関することです。2回目のクリックの前にマウスが少し動いてしまい、ダブルクリックが成立しないパターンです。マウス操作に慣れるまではこの問題がよく起きてしまうのですが、これがまたさらに次の問題を引き起こします。
ファイルやフォルダーのアイコンに対して、シングルクリックを2回操作すると『名前を変更』できるようになりますね。こうなってしまうと、ダブルクリックが成立してもなかなか開く操作が行われません。同じ操作なのにいつもと違う状態になることは、純初心者さんには厄介な事態というわけです。
2つ目はダブルクリックの使いどころに関してです。ファイルやフォルダーを開くときにはダブルクリックをしますが、タスクバーやスタートメニューから起動するときにはシングルクリックで開けます。同じように、これは次の問題を引き起こします。
クリックされた回数ぶんソフトの起動タスクが走り、起動に時間がかかるソフトはさらに何回もクリックをされてしまうことです。これは、1つ目の問題のようにダブルクリックで反応がなければ何度も実践する操作が仇となるケースです。多重起動されたソフトを閉じるための作業も増え、悪循環となります。
でも、ダブルクリックの操作は知らぬ間に慣れていきます。また、どこでダブルクリックをするのかも経験が蓄積されていけば判別できるようになるものです。苦手意識が増すのが先か、経験値の蓄積が先か、というせめぎ合いを感じます。
純初心者が改善すべき行動
純初心者さんは決まって同じ行動をとるので、これはとても簡単です。
その改善すべき行動とは、『知らないメッセージが出たら、とりあえず “はい" や “次へ" や “×" を選択してしまう』ことです。パソコンというだけで苦手意識が先行し、まず内容を読みません。なぜ “はい" を選択したのか確認すると、『わからないから なんとなく選択した』という回答が返ってくることが多いです。
日本製のパソコン(OS)を使っているなら、多くのメッセージも日本語です。読んでもわからないことのほうが確かに多いかもしれませんが、そこにプロとの違いが出てきます。プロは何でも知っているわけではなく、知らないことを解決する能力が高い人のことである、と私は認識しています。
厳しいことも少し書いてしまいましたが、なりたかったパソコン講師になってから、初心者さんがどんどん成長していくのを肌で感じられるのは嬉しいです。それと同時に、自分の発言によって伸びるかたもいれば、難しさを植え付けてしまうかもしれないという責任の大きさも感じています。
私と同じようにパソコンを教えているかたや、教えたいと思っているかたも、教える側としての研究と責任感を持って臨んでいただければ幸いです。
以上、パソコン講師になって認識『純初心者』はどこが難所なのか、でした。