国会議員の赤恥発言から学ぶIT用語『クラウド』とは
『クラウド』や『クラウドサービス』という言葉を聞く機会がとても増えてきました。テレビCMの影響も大きいかもしれませんね!
見える範囲でも、見えない範囲でも、多くのかたはクラウドサービスの恩恵を受けています。クラウドサービスという用語を知らずとも活用できているのは、まさにクラウドの良さといえます。
国会中継で『クラウド』に関する赤恥発言も飛び出したので、クラウドに関する基礎知識と、何が問題だったのかを解説しちゃいます!
目次
クラウドとは
クラウドの仕組みをざっくりと表現するなら、『ユーザー側で設備を用意せずとも、インターネットを通じてサービスが利用できる形態』のことです。※インターネットをするためのパソコンやルーターなどの機器は所有していることが前提です。
サービスの提供者側が設備を用意している、というのがポイントですね。
ちなみに、自身で設備を構築して、何らかのサービスを使えるようにすることは『オンプレミス』といいます。『オンプレミス』は『クラウド』とは真逆の状態ともいえるので、設備を用意するときにそれぞれの良さを比較して、どちらが適しているかを吟味します。
クラウドサービスの例
- Gmail(メールサービス)
- Yahoo!メール(メールサービス)
- Dropbox(ストレージサービス)
- OneDrive(ストレージサービス)
- スプレッドシート(表計算サービス)
- iCloud(Apple製クラウド総合サービス)
- などなど
これらの提供機能がいわゆるクラウドサービスです。聞いたことや使ったことがあるサービスがありませんか?
これらのサービスを使うときは、インターネット環境と、ブラウザや専用ソフトくらいを用意するだけで、すぐに利用開始できますね。
もし、クラウドにあるストレージサービスをオンプレミスで用意する場合は、『ファイルサーバー』という設備を設置したり、『NAS(Netword Attached Storage)』を設置することになります。
クラウド型・オンプレ型の比較
クラウド | オンプレミス | |
---|---|---|
初期費用 | 安価 | 高価 |
運用費 | サービスやプランにより変動 | 電気代、保守の人件費 |
カスタマイズ性 | 制限される | 自由 |
保守コスト | ユーザー側の負担は少ない | 高い |
セキュリティ | 運営側次第 | 保守担当者次第 |
処理性能 | サービスやプランにより変動 | 設備投資次第 |
物理的に設備を用意しないことから、クラウドの方が圧倒的に導入のハードルが低く、サービスを実現しやすいことがわかります。運用費もクラウドの方が基本的に安く済むため、クラウドが流行っている理由もわかると思います。
これでもなぜオンプレミスの環境が必要になっているかというと、絶対にインターネット上に公開したくない社内の機密データなどがあるからです。優れた技術者がいれば、安全にデータを守ることができますね。
また、クラウドとはいえ、結局はどこかに機材が設置されている、という前提は忘れてはいけないですよ!
国会議員の有名な『クラウド発言』
サーバーは増やすんじゃなくて、時代はもうクラウドなんですよ
ここだけを切り取れば、そこまで不思議な発言とは感じにくいでしょう。ただ、これだけでは情報が少ないので、ITリテラシーの有無によっては危険な解釈が生まれます。
このクラウド発言が赤っ恥な理由
クラウド発言が飛び出す前のやり取りを簡単に紹介します。
議題としては、特別定額給付金をオンライン申請する際に付随して発生した、アクセス集中によるトラブル報告の衆議院予算委員会にて実際に交わされたやり取りです。
電子証明書関係のシステムに一時的にアクセスが集中し、処理の遅延が生じていました。
サーバー側の処理能力を現在対応できる最高の値まで増強し、現在は解消しています。
全国民が使うことを前提としたシステムに巨額の税金を使って構築しておいて、アクセスが集中したから遅延が起きたということですか?
マイナンバーカードを持っている人の10人に1人がアクセスしただけで、サーバー障害が発生するのは仕方のないことでしょうか?
マイナンバーカードの利用が非常に低調だった傾向がありますが、これから増えていくだろうということで、サーバーを増やすことにしました。
サーバーは増やすんじゃなくて、時代はもうクラウドなんですよ
※内容がわかりやすいように、無駄なやり取りを圧縮しています。
何が赤恥発言かというと、『クラウドを使うことによって処理能力が改善される』という滅茶苦茶な解釈をしてしまっている発言だからです。『よくわからんけどクラウドはすごいモノ』という印象を持ってしまっているのかもしれませんね。
クラウド(クラウドサービス)も、あくまでもどこかに物理的にサーバーが設置されて、成り立っている仕組みです。急に湧いて出てきた夢のシステムなんかではありません。
処理能力がテーマであれば、物理サーバーの増強・ネットワーク環境の増強・ソフトウェアによる負荷分散システムなどを議論するのが自然でした。
国会議員はITのプロではないので詳しくないのは仕方のないことですが、自信満々に意味不明な発言をしてしまったために、IT音痴だと騒がれてしまったわけですね…知ったかはよくないということです。しかしながら、ITに明るくない国会議員によって、全国民が使用していくであろうマイナンバーカードと不随するシステムが決定されていくのは悲しいことですね。
まとめ
クラウドは、設備を持たずともサービスが利用できる形態のことです。そして、クラウドサービスは急に湧いて出てきた夢のシステムなんかではなく、どこかに物理的に存在する『強力な設備』と『優秀な技術』によって提供されています。
気軽に利用できるクラウドサービスは、今後もまだまだ広がっていくはずです。いかに素敵なクラウドサービスを生み出せるかが、成功へ導くカギになっていると私は思っています。
以上、国会議員の赤恥発言から学ぶIT用語『クラウド』でした。